鉄骨ALC・パワーボードの特徴とポイント

ALC(Autoclaved Lightweight  aerated Concrete)はコンクリートの1種で、簡単にいうと、気泡が混入されたコンクリートです。

サイディングと比べるとシェアは0.4%と少ないものの、軽量・耐火性・遮音性の面から建物の外壁材としてヨーロッパを中心に普及し、日本では旭化成のヘーベルハウスが有名です。

国内でもスカイツリーに採用されているのは有名です。

戸建住宅市場における外壁材素材別シェア

日本窯業外装材協会 より引用

ここでは、ALC外壁の特徴や外壁劣化の種類、補修方法についてご説明いたします。

 

ALC壁とは 特徴と長所短所

外壁材のALCについて

ALCはコンクリートの1種で、Autoclaved Lightweight  aerated Concreteの略になります。

簡単にいうと、気泡が混入されたコンクリートです。ALCは、コンクリート材を高温・高圧の蒸気を用いて養生(180℃、10気圧、10時間の養生します)して生成します。

表面は、気泡のパネルで仕上がっていますので外壁塗装または防水の処理を行う必要があります。

ALC気泡の様子

 

気泡の混入型のコンクリートの性質から以下のような特徴をもっています。

ALCコンクリートの特徴

  • 多孔質
  • 軽量
  • 無機質(むきしつ):珪石(けいせき)、セメント、生石灰等々による成分からなります。

 

 

ALC材の構造と様子

ALC材の構造

ALC材は本来気泡だらけの「軽石」のような素材です。内部には鉄製の配筋が含まれています。そのままだと耐水性能が弱いので、外壁塗装などの表面処理を行う必要があります。

ALC(パワーボード)の素材の画像
ALC(パワーボード)の素材の画像

 

ALCの亀裂について

赤い点線の□の部分に鉄製の配筋が含まれています。この配筋が腐食(ふしょく)や錆(さび)により拡大・膨張(ぼうちょう)して、ALC材の亀裂が起こります。

防水性があまりよくないので、塗装の劣化やコーキング(シーリング)の劣化には、抵抗力が弱く1次防水しかないことにより、亀裂・欠け・欠損・ひび割れ等々の原因から、突然の雨漏れが起こることもよくあります。

 

ミズノライフ水野ミズノライフ水野

1次防水と2次防水

1次防水:ALC材の下地は直接内装の裏側になりますので、コーキングの劣化や塗装の劣化が起こると、雨水が侵入する場合があり雨漏れのリスクは非常に高くなります(1次防水)

2次防水:窯業系・金属系サイディング等はサイディングとコーキング等で防水処置(1次防水)しています。また下地には透湿防水シートが壁全面に張られています(2次防水)

※ 今回のポイントはALCの外壁は防水性があまりなく、外壁塗装の劣化やコーキングの劣化は雨漏れが起こりやすい点を確認しながらご覧ください。

 

ALC外壁材の長所・短所

ALC外壁材の長所と短所は下記の通りです。

メリット(長所) デメリット(短所)
耐火性能 (★★★★★ 5)

耐火性能が非常に高い点が人気の一つです。

都会型の住宅の建築基準法の防火基準に対応している外壁材と言えます。

防水性が弱い

表面が気泡のパネルで仕上がっているので、塗装または防水の処理が必要な建材です。

軽量化 (★★★★ 4)

主成分にコンクリートが含まれているのですが、気泡を混入している関係で軽量化に成功しています。

コンクリートの重量の1/4の重量で済みますので、耐震性にもメリットがある建材と言えます。

外壁塗装の変色

塗装の劣化により、外壁塗装及びコーキングの変色が起こりやすくなる。

耐久性能  (★★★★ 4)

主成分が無機質で形成されていますので、有機系に比べて劣化が遅いのが特徴です。

メンテナンス費用が割高

窯業系・金属系サイディングの外壁の補修費用に比べて割高になりやすい外壁建材です

 

ALC壁の施工方法
  1. ALC壁の施工は鉄骨造と木造があります
  2. ジョイント部・サッシ部・窓廻りはコーキング(シーリング)での処理が基本です
  3. タイル仕上げや外壁の塗装による仕上が多く、ALC外壁自体は防水性がないため塗装表面の劣化に注意は必要
  4. ALC材を床部(下地)の施工に使用する場合があります
ミズノライフ水野ミズノライフ水野

ALC壁のタイル仕上げの場合によくある劣化の症状に、剥離(はくり)や亀裂(きれつ)やひび割れなどがあります。

ほとんどの場合、ALCの外壁に「防水処理を行わずにALC壁にタイルを直接ボンド貼りをおこなっている外壁がほとんどです。

外壁塗装は、築10年目頃から白華現象(はっか)や亀裂が起こりやすくなります。これらの症状が出てきますと早目にメンテナンスの検討されることをおすすめします。

 

 

ALCの外壁によくおきる劣化症状

ここではALCの外壁によくおきる劣化症状をレベルごとにご紹介します。

  • 劣化レベル1ALCの外壁撥水性能がなくなり、チョーキングが起こる
  • 劣化レベル2:ALC外壁の変色が起こり始める
  • 劣化レベル3コーキングの劣化と亀裂(きれつ)や割れが起こりだす
  • 劣化レベル4雨漏れが頻繁に起こりだします

     

    劣化レベル1:ALCの外壁の撥水性能がなくなり、チョーキングが起こる

    チョーキングが起きている 劣化した塗料が手に付いた様子

     

    ALC壁自体に防水性能がないので、外壁塗装やコーキングの耐久性能が防水効果をはたします。

    ALCの表面は全体的に気泡でしあがっています(軽石のようなイメージ)ので、塗装やコーキングによる耐久性能が防水性能を左右します。

    劣化レベル2:ALC外壁の変色が起こり始める

    劣化レベル2は紫外線劣化による外壁塗装の変色があげられます

    ALC外壁の変色が起こり始める
    ALC外壁の変色が起こり始める

     

    紫外線による劣化により外壁の塗装の変色が起こりだしています。このような状態のALCの建築物は、雨漏れが起こり始めている建物が多いです。ALCのヘアークラックが起こり始めたりもします。

     

    劣化レベル3:コーキングの劣化とALC外壁の亀裂(きれつ)や割れが起こりだす

    劣化レベル3はコーキングの劣化やALC外壁の亀裂・割れです。

    ALC外壁コーキングの劣化

    ALC外壁コーキングの劣化(ひび割れ)

     

    上記はALC外壁コーキングの劣化(ひび割れ)が起きている様子です。

    ALC材の厚みは約35~100mmあります。窯業系サイディングの厚みが約15mmですので、ALC壁は厚みのありますが、雨漏れに対して気楽に考えている方が意外と多いです。

    ミズノライフ水野ミズノライフ水野

    中にはALCはサイディングより厚みがあるぶん、丈夫ですからと簡単に言う営業マンもいますが、1次防水が主のALC材はサイディングより雨漏れには注意が必要です。

     

    ALC外壁に起こる亀裂・割れ

    ALC亀裂の様子

    上記は、ALC外壁に起きた亀裂です。ALCの外壁に塗装の撥水性がなくなり、コーキングの劣化もかなり進んでいます。

    S造(鉄骨造)のALCについては、高層階の劣化は比較的みつけにくいので、5階建ての建物の5階の亀裂から1階への雨漏れも珍しくないです。

     

    劣化レベル4:雨漏れが頻繁に起こりだします

    劣化レベル4は、頻繁な雨漏れです。

    5階屋上から1階への雨漏れ

    雨水の侵入による1階の雨漏れの様子

    上記は台風やゲリラ豪雨にはほぼ毎日雨漏れが起こりだしている建物の様子です。5階のALC外壁の劣化から1階の待合室に直接雨漏れがおきています。

     

    押し入れ天井まで発生した雨漏れ

    ALC雨漏れ(押入)調査の画像

    上記はコーキングの劣化が原因による押入れ(天袋)内部に起こっている雨漏れの様子です。「赤外線サーモ診断で見つかった、雨漏れ」押入れの天井は気が付かないことが多く手おくれのケースがよくあります。

     

    ALCの外壁塗装・コーキング劣化の注意点

    次に、ALCの外壁塗装やコーキングの注意点をご紹介します。

    外壁塗装劣化によるひび割れ

    下記の画像は、塗装劣化による撥水性の問題です。外壁塗装自体に撥水効果はなくなっていて、ALC内部の配筋がサビ等で劣化していてひび割れを起こしています。

    ALC外壁の亀裂やひび割れの様子

     

    コーキング劣化による損傷

    ALC塗装及びコーキングの劣化による損傷

    左の赤い点線はALC本体に穴が開いている様子です。右の赤い点線はALCのコーキングの劣化により本体に穴が開いている様子です。いずれの状態も、雨水の侵入により雨漏れが起きています。

     

    桶受けの劣化

    ALC外壁の樋受けの劣化
    ALC外壁の樋受けの劣化

     

    上部の劣化の画像と同じく、ALC本体に取り付けている金物の影響により雨漏れが起きています。

     

    パッチテスト(クロスカット試験)

    パッチテスト(付着テスト)

    パッチテスト(付着テスト)の様子
    パッチテスト(剥離テスト)は、塗装予定の塗料と外壁との付着度・密着度を事前確認するためのテストのことです、パッチテストのことをクロスカット試験(碁盤目テープ試験)とも言います。ご自宅の外壁と塗料の相性不具合問題を回避するための非常に重要な試験です。

    試験結果によっては、利用予定であった塗装に不可をかけることがあるので弊社は塗膜試験とも言っています。

    このように塗装の剥離のテストを行って、旧塗膜の相性の確認を行います。10年以上外壁塗装をおこなっていない外壁は下地との相性は特に慎重に行うことをお勧めします。

    (関連記事)【外壁塗装パッチテスト(剥離テスト)とは】必要性とやり方を徹底解説

    コーキングの施工不良

    つぎにALC外壁のコーキング部の劣化の様子です。

    コーキング劣化の様子

     

    散水テスト後のコーキングの下地からかなりの水分が出てきている状態の様子、ALC外壁面に撥水性がなくなっていて、外壁面全体に散水試験の水分が浸み込んでいる様子

     

    コーキングの劣化がALC壁にどのような影響を与えるか主な原因

    • プライマー(コーキングの接着剤)塗布の忘れによるコーキングの劣化:コーキングを注入する前にコーキング用のプライマー塗布の工程を忘れているか飛ばしていることによる劣化に注意
    • コーキングの老朽化による劣化:コーキング劣化により、ALC外壁全体に大量の雨水の侵入が起こっている、コーキングの裏側にも雨水が侵入による劣化
    • 撥水性がなくなっている:耐用年数の超過による撥水効果がなくなっていることが原因による、コーキングのひび割れや損傷が起きやすくなります

     

     

     

    ALCの外壁の補修方法

    次にALC外壁の補修方法もご紹介します。下記はALC亀裂の様子です(施工前)。

    ALC亀裂の様子

     

    下記はALC本体に亀裂が起きている場合の外壁補修の様子です。

    ALC補修(Uカット)の様子

     

    ALCの本体に、サンダーによるコーキング注入用の目地を拡大させます。

    Uカット後のコーキングの補修

     

    Uカット後コーキング注入します。

     ALC外壁コーキングの補修

     

    コーキング注入のち左官職人による補修作業を行います。

    サーモカメラによるALCの外壁診断

    ■5階からのALC外壁の雨漏れの調査

    5階建ての建物を実際、仮設足場を施工してからの見積作成は理想ですが、現実に費用が掛かりすぎます。そこで非破壊検査/赤外線サーモグラフィー調査を行います。

    サーモカメラを使った検査の『概算見積書』の作成で工事の予算を立てます

     

    ALC赤外線診断による雨漏れの様子
    ALC赤外線診断による雨漏れの様子(レインボーカラー)

     

    水色の部分が低温部になります。周囲より低温の様子が雨水の侵入と思われます。このサーモカメラの画像より5階の雨漏れの予測が確認できます。

    ■ALC外壁に直張りタイルの雨漏れの調査

    素焼きタイルの落下や劣化に使用されている調査です。「施主は保険業務されていてこのような検査を理解されていて、弊社に依頼されました」

    ALCとタイル貼雨漏れ診断(赤外線診断による雨漏れの様子)
    赤外線診断によるALCとタイル貼雨漏れ診断(レインボーカラー)

     

    水色の部分が低温部になります。周囲より低温の様子が雨水の滞留していると思われます。このサーモカメラの画像よりタイルの剥離や劣化の予測があ設足場がなくても予測できます。

    塗装の劣化により、ALC内部の鉄部の錆(さび)や劣化により、外部に亀裂が起こりやすくなります。

     

    まとめ ALC外壁の外壁塗装

    まとめです。今回は、ALC外壁の特徴やよく起こる劣化、補修方法や塗装工事例についてご紹介いたしました。

    ALC外壁の特徴や注意点について

    • ALCはコンクリートの1種で。簡単にいうと、気泡が混入されたコンクリートです。
    • 軽量・耐火性・遮音性がある外壁材
    • ALCは防水性能が低いので外壁塗装やコーキングが防水性能の要(外壁塗装の劣化に注意)
    • ALC壁の雨漏れには特に注意を払う必要があります

     

    弊社も大阪を中心に皆様のお家の外壁診断調査や、外壁塗装工事をさせていただいております。

    もし家の劣化を気にしておられる場合は「ミズノライフクリエイトの外壁・雨漏り診断」をご検討いただけましたら幸いです。

    最後までご覧いただきありがとうございました。

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